欧州主要リーグ考察!戦術、文化、経営面での特徴まとめ

本稿では欧州主要リーグの特徴を考察する。近年では日本人選手の欧州移籍も珍しくなくなったし、DAZN参入により視聴環境も身近になった。より欧州サッカー文化の魅力に触れやすくなったいまだからこそ、基礎知識として戦術・文化・経営面などの特徴をおさらいしておきたい。

スペイン(ラ・リーガ)

戦術

  • フィジカルよりもテクニック重視の傾向にあり、どのポジションの選手もボール扱いが上手いのが最大の特徴。
  • 戦術は緻密。ビルドアップやプレッシングのパターンを徹底して仕込むなど、どのクラブも再現性が高いサッカーを志向する。攻撃的なパスサッカーを目指すクラブも多い。
  • 遅攻と対遅攻のクオリティは欧州リーグ屈指で、高度な守備組織構築とその崩しが毎節繰り返される。

文化

  • エル・クラシコ(レアル・マドリードVSバルセロナ)は、政治的、歴史的なコンテクストも相まって毎回白熱する。
  • 審判のレベルに問題を抱えており、敗戦を審判のせいにする文化もある。
  • 育成環境がしっかりしており、次々と優秀な選手が輩出される。
  • 地域ごとに文化やパーソナリティが異なり一国でくくりにくい。民族意識が強い。アスレティック・ビルバオはバスク人純血主義。

リーグ内競争率

  • レアル・マドリードとバルセロナの2強が引っ張る(近年はアトレティコ・マドリードを含め3強)。
  • そのため、オトラリーガ(別のリーグ)という概念がある。2強を除いて年間3位になったチームをオトラリーガ王者とみなすような意味合い。

経営

  • 不健全なクラブ経営が長らく続いていた。2010年代初頭は危機的状況。給与不払い問題なども。
  • 2013-2014シーズンから、財政取り締まり規約を施行し、健全化が進んだ。
  • テレビ放映権料の66%を2強が独占するという不均衡が続いていたが、2016-2017シーズンから、スペインプロリーグ機構(LFP)がテレビ放映権を一括管理し分配方法を改革することで放映権料公平化が進んだ。

イングランド(プレミアリーグ)

戦術

  • かつては「キックアンドラッシュ」と呼ばれる迫力のある肉弾戦がベースで、高度な戦術的駆け引きは感じられなかった。
  • ゲームをコントロールする概念は他リーグより少なく、試合のテンポ(攻守の切り替え)がかなり速い。
  • 近年は世界最高峰の監督が集まる傾向にあり、戦術面での多様性が増している。
  • DFは1対1であれば積極的にボールを奪いに行く場合が多い。ディアゴナーレはスタンダードではない。

文化

  • ピッチと観客の距離が近い「劇場型」のスタジアム。ゴールが決まった時のサポーターの歓喜の瞬間が強烈。
  • ファールが取られにくい。「審判が選手を守らない」との批判も。
  • 日程がタイトでウインターブレイクもない。「スポーツよりビジネスを優先」との声も多数出ており、ペップやモウリーニョも苦言を呈している。
  • 外国人枠が厳しくなく、どのクラブも多国籍軍であることが多い。

リーグ内競争率

  • 6強(マンチェスターC、マンチェスター・U、チェルシー、リバプール、アーセナル、トッテナム)が優勝候補だが、下位クラブも強い。欧州リーグのなかでも特にコンペティティブ(競争的)で、それが商業的価値を高めている。

経営

  • テレビ放映権収入が欧州リーグのなかで最も高い。
  • 入場料(グッズ販売)収入も高く、5大リーグのなかで最も収入バランスが良い。
  • 降格クラブにテレビ放映権収入を分配する「パラシュート・ペイメント」制度がある。(経営状態の悪化が懸念されるため、その救済金。)

イタリア(セリエA)

戦術

  • カテナチオと呼ばれる堅守からのカウンター戦術が主流。特に守備戦術が緻密で、ほとんどのDFに個人戦術もグループ戦術も染み付いている。
  • 戦術的対応力が高いクラブが多く、相手チームの良さを消すことに関しては欧州随一。
  • ただし近年は、スペクタクルで攻撃的なサッカーを思考するチームも増えてきた。
  • 遅攻の質はやや劣るか。

文化

  • カルチョポリ(カルチョ・スキャンダル)の問題が2006年に発覚した。その直後のワールドカップではイタリア代表が優勝し逆境への強さを見せたものの、セリエA集落のきっかけになったか。
  • 歴史的に根深い南北問題はサッカー界も例外ではなく、ユベントスとナポリは憎悪の関係。イグアイン移籍は「禁断の移籍」とされた。
  • スタジアムに空席が目立つ。集客力に反して収容人数(キャパシティ)が大きすぎるのが問題ではあるが、スタジアム老朽化や治安の悪さなども見逃せない。
  • 若手選手の育成機関への投資が不十分で、有望な人材が他国ほど出てこない。

リーグ内競争率

  • 2000年代はACミラン、インテルも強かったが、近年はユベントスの一強状態。

経営

  • クラブ収入は、テレビの放映権料が大きい。
  • 高い興行収入を上げられるのはユベントスだけで、資金面で突出している。
  • 自前のスタジアムを持たないクラブが多い。ユベントスを除いて、スタジアムは基本的に行政のもの。
  • 以前はミラノ2大クラブ(ACミラン、インテル)が会長のポケットマネーで積極投資をしていたが、FFPの影響を受け弱体化した。中国人投資家が2クラブを買収したのは時代の象徴か。

ドイツ(ブンデスリーガ)

戦術

  • ツヴァイカンプフ(1対1)が伝統。
  • 大柄な選手が多く、スピードとテクニックを誇るタイプは不足気味だったが、近年はその傾向は弱まりつつある。
  • 2013年前後は、バイエルンやドルトムントのゲーゲンプレッシング(強度の高いプレッシングとトランジション戦術)が欧州を席巻した。
  • ペップ革命以降、戦術的に多様化が進む。トゥヘルやナーゲルスマンのような若手気鋭戦術家も現れる。

文化

  • ドイツ代表がユーロ2000で散々な敗退を喫したのをきっかけに、ドイツサッカー連盟は育成方針の改革に踏み切った。その結果技術に優れた選手が多数輩出され、2014年ブラジルワールドカップ優勝にたどり着いた。
  • 真面目な民族性、外国人枠の緩さ、ドイツ人選手との特徴の違いなどの理由から、日本人選手が移籍しやすいリーグといえる。
  • 拝金主義的思想を嫌う傾向にある。RBライプツィヒへの嫌悪や、平日開催の試合への観戦ボイコットなどがしばしば起こる。

リーグ内競争率

  • バイエルン・ミュンヘンの一強状態。
  • ドルトムントのように対抗馬が出てきても、選手がバイエルンに引き抜かれてしまう。多くのドイツ人選手にとってバイエルンは憧れでありステップアップの最終地点であるため、中期的にみればなかなか差が埋まらない。

経営

  • どのクラブもクリーンな健全経営が義務付けられている。
  • 観客動員数は世界一で、入場料やグッズ販売の売り上げが多い。
  • リーグ競争率の影響からか、テレビ放映権収入は低め。

フランス(リーグ・アン)

戦術

  • 中盤はフィジカルに長けた選手が多く揃う。よりフィジカルが重要視される戦術が多い。
  • 欧州5大リーグのなかでは、戦術的緻密さに欠ける印象。

文化

  • アフリカ圏からの移民が多いお国柄をそのまま反映し、アフリカ系若手選手が多い。
  • 5大リーグのなかでは、(パリ・サンジェルマンを除き)若手の登竜門的な位置づけのリーグでもある。
  • 過去サッカー人気が他国よりは低かった。近年では、2011年にパリ・サンジェルマンが金満化し(カタール・スポーツ・インベストメントがの筆頭株主になった影響)、一流選手を呼び寄せることでリーグ人気に火をつけている。

リーグ内競争率

  • 資金面ではパリ・サンジェルマンの一強状態。戦力的にも一強だが、モナコも強い。

経営

  • パリ・サンジェルマンが資金面で突出している。
  • スター軍団パリ・サンジェルマンの人気に引っ張られて、リーグ全体の平均観客動員数も伸びている。
  • 収入比率は、テレビ放映権収入の割合が圧倒的に高い。
  • 自前のスタジアムを持たないクラブが多い。
  • ASモナコはリーグ・アンに所属するが、モナコ公国のクラブであり、税金の仕組みがフランスのクラブと違って有利。

ポルトガル(プリメイラ・リーガ)

戦術

  • より攻撃的で、展開が速い。
  • 個人戦術の常識は日本と似ている。DFは安易に飛び込まない(1人目が飛び込まず、2人目はカバーという意識で対峙する)。

リーグ内競争率

  • トレス・グランデス(三強)と評される、ベンフィカ、ポルト、スポルティングが強い。

経営

  • ビッグ3の予算は平均7000万ユーロ。残る15クラブの500万ユーロという不均衡がある。
  • 資金繰りの苦労、給与未払いもある。

オランダ(エールディヴィジ)

戦術

  • オランダ伝統のサイド攻撃が主流。サイドでチャレンジを繰り返すドリブラーに称賛が送られる。

文化

  • ステップアップのためのリーグという位置づけで、アヤックスはビッグクラブへの登竜門と言われるほど多くの有名選手を育ててきている。
  • 各クラブの育成機関も優れている。

リーグ内競争率

  • PSV、アヤックスのリーグ優勝が多い。次いでフェイエノールト。

経営

  • 国の規模が小さく資金力に劣る。そのため、かつては欧州においても競争力を維持していたが、徐々に5大リーグに離されつつある。

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