サッカーのシステム(フォーメーション)を考察!それぞれの特徴など

時代の流れとともに変遷するシステム論。本稿では、現代フットボールでよく採用されるシステムをいくつか紹介し、あわせてその特徴などについても触れていく。昨今はどのチームも戦術的練度が高くなりつつあるが、システムは戦術の幹でもあるのでその概略は理解しておきたい。

システム(フォーメーション)について

システムとは

システムとは、ピッチ上の選手たちがどのように配置されているかを示すもの。いうなればチームの設計図だ。選手たちの能力を最大限に引き出すため、あるいは相手チームの長所をできるだけ消すために、監督はシステムを考案する。

単純なシステム論は意味をなさなくなってきている

現代サッカーでは、攻守両面で90分ずっと同じシステムを継続するような安易な戦術は少なくなってきている。ビルドアップ時やプレッシング時の可変システムのメカニズムも浸透しているため、単純なシステム論(このシステムとこのシステムではこっちが有利!のようなもの)の意味合いは薄くなってきている。

もはやシステムに絶対的な優位性や相性はないとみたほうがいいかもしれない。

賢人のことば

ペップ・グアルディオラ

「システムの数字なんて電話番号に過ぎない」

イビツァ・オシム

「日本人はシステム論議が好きらしいが、システムは保証でしかないことを理解したほうがいい。
システムの奴隷になってはいけないのだ。
無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。
大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。
個性を生かすシステムでなければ意味がない。
システムが人間の上に君臨することは許されないのだ。」

パコ・ヘメス

「複数のシステムを扱えれば、試合中に流れを変えることが可能となり、勝利を収める確率も高まるはずだ。ただシステム、つまり数字の並びに固執し過ぎてもいけない。ただの出発点に過ぎないんだよ。重要なのはシステムに選手をはめ込むのではなく、相手陣内にどのように攻め込むか、どこでプレッシングを仕掛けるか、どのように試合を終えるかなんだ。」

ファン・マヌエル・リージョ

「4-4-2?4-3-3?電話番号じゃないんだから(笑)これを知っていることがサッカーを知っていることだと勘違いされている。ここには動きも、発展も、コンセプトもまったくない。こういう並びはグラウンド上に存在しない。サッカーではBALLが動き出した途端に全員が動き出すのだから。」

4バック

4バック概要

・4バックは最もオーソドックでバランスが良く、普遍的に好まれる。

4-4-2(ボックス型/フラット型)

※本稿ではボックス型とフラット型をまとめて紹介しているが、一応簡潔に違いを紹介する。

ボックス型:攻撃的SBのオーバーラップを織り交ぜた分厚い攻撃が特徴。

フラット型:セントラルMFは上下の長距離をカバーしなくてはならず、攻守に運動量が求められる(ジェラード、ランパードが好例)。

【概要】
・普遍的なシステム。
・各ポジションの位置関係のバランスに優れる。ゾーンディフェンスを敷きやすい。
・2トップのアクション次第で、攻撃に多数のバリエーションが生まれる。
・幅を使った攻撃も実践しやすい。
・中盤でのボール保持に重きを置くシステムではない。

【採用例】
ブラジル代表、鹿島アントラーズ、アトレティコ・マドリード、レスター

【(相手からみた)攻略ポイント】
・2トップの脇のエリアが攻撃の起点となるので、そこから攻撃を組み立てる。
・4-4ブロックのライン間のスペース、またはハーフスペースを狙う。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・3-4-3(5-4-1)

4-2-3-1

【概要】
・4-4-2の派生とも解釈できる(前線2人が縦関係か横関係かの違い)。4-4-2へのシステム変更もしやすい。
・守備時は4-4-2のスリーラインでブロックを形成する場合が多い。
・中盤の人数を生かしたゾーンプレスも組みやすい。
・1トップはポストプレーに長けたフィジカルが強い人材が理想で、孤立しないようMFが積極的に前線に絡む必要がある。
・WGとSBの連携によるサイドアタックも有効。
・2012年あたりは大量生産された。万能的で、手堅いチームとしてスムーズに構築しやすい。
・その反面、1トップ、トップ下、WGの個の能力が秀でていなければ、単調な攻撃となり凡庸化することも。

【採用例】
ザックジャパン

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・4-3-3(4-1-4-1)

4-3-3

【概要】
・スペインで一般的。三角形が形成しやすく創造性の高いチームのベースとして好まれる。
・攻撃的MFを経由してFWに配給する戦術が効果的で、3人のMFによるポゼッションの質がチーム全体のパフォーマンスに影響する。
・WGとSBの連携によるサイドアタックも有効。
・1トップはポストプレーに長けたフィジカルが強い人材が理想。
・0トップシステムのベースにもなる。

【採用例】
バルセロナ、レアル・マドリード

【(相手からみた)攻略ポイント】
・1トップなのでCB1人がフリーになれる。CBの持ち上がりを有効活用したい。
・アンカーがいることで、2ライン間が間延びしたり、アンカーの両脇にスペースが生まれる。
・サイドからの攻撃、サイドチェンジを有効活用する。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・4-2-3-1

0トップ(偽9番、ファルソ・ヌエベ)、4-6-0

【概要】
・ローマ(2005-06)やバルセロナ(2008-09)が採用したことで有名。0トップ役はトッティ、メッシ。
・基本的には1トップと左右WGの3トップ配置だが、攻撃時に1トップが中盤に落ちる。
・1トップ不在だと深さが作れないが、WGがワイドに開き落ちないことで担保する。

【バルセロナ式0トップの革新性】
・本来1トップがいるポジションに人がいないため、守備側のCB2人はマーク対象がいない。
・中盤での数的優位が戦術ベース。中盤での圧倒的にボールを保持できる。
・元々1トップがいたスペースに、2列目の選手が走り込める(CBが対応が困難に)。

【対策】
・アスレティック・ビルバオのビエルサが挑戦したオールコートマンツーマン。

4-1-4-1

【概要】
・4-3-3に近いが、守備の際にWGが頻繁に中盤に降りる(サイドハーフと化す)場合は便宜上こう表記したほうが適当。
・2ライン間に門番役としてアンカーをおける、守備が堅いシステム。ピッチ幅をMF5枚にしてフィルタを敷く考え方。
・サイドハーフは独力で持ち運べるドリブル力(走力)が求められ負担が大きい。
・1トップはポストプレーに秀でていることが必須。

【採用例】
岡田ジャパン(南アフリカワールドカップ)、ハリルジャパン(2017年ホーム豪州戦)

【ハリルJの守備原則】
・2CBが相手1トップをみる。アンカーがフリーマン。
・残りの6人(SB2人、MF4人)は人に基準点を置く守り方でデュエル。
・ただし人に基準点を置くディフェンスは、秩序と整合性を欠く傾向あり。ロングフィード一本で裏を取られることも。

【(相手からみた)攻略ポイント】
・CB1人がフリーになりやすい(1トップゆえに規制がかからない)。CBの持ち上がりを有効活用したい。
・アンカーがいることで、2ライン間が間延びしたり、アンカーの両脇にスペースが生まれる。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・4-2-3-1

4-4-2(ダイヤモンド型)、4-3-1-2

【概要】
・近年はやや珍しい。
・特別なトップ下選手の才能を存分に活かすシステム。
・FWの近くにトップ下がいるので、オフェンス時のパターンは多い。
・中盤4人のMFによる細かいパス回しが特徴。
・サイドハーフはWG的な仕事をする役ではなく、あくまで中盤。よってサイド攻撃の厚みに欠ける。圧倒的なボール保持をベースに、SBを高い位置に押し上げるのが理想か(SB偽WG化)。

【採用例】
レアル・マドリード(2016-17)、バルセロナ(2017-18)

【(相手からみた)攻略ポイント】
・中盤のサイドにスペースが空きやすい。
・アンカーの両脇にスペースがあれば活用する。
・守備時に4-4ブロックを形成する守り方もあるが、トップ下の選手の判断が遅いと遅れる場合があるので、そこを突きたい。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・3-4-3(ダイヤモンド)

4-3-2-1(クリスマスツリー)

【概要】
・サイドアタックよりもセンターアタックに向いているシステム(センターアタックを封じられた際に攻撃が手詰まりになるかも)。
・中盤は5枚いるため数的優位を作りやすい。
・中盤の底3枚は、両サイドの選手がサイドアタックに参加したり中央に絞り込むなど、流動的な動きが求められる。
・2人の攻撃的MFは、セカンドストライカーの役割を求められる(FWを追い越す動きや、サイドに張り出して攻撃を組み立てたり、単独での突破を仕掛けるなど、比較的自由が高い)。
・攻撃で前線の3人による突破に依存する場面が多く、3人の個人能力は高い水準が求められる(カウンター時に前線の個人能力を生かせる)。
・ワイドに攻撃を展開しにくい(攻撃時にハーフスペースを作りにくい)。
・4バック+3ハーフの守備ブロックを組みやすいが、全体が縦に間延びしやすいのが懸念点。

【採用例】
ACミラン(2007-08)

3バック

3バック概要

・前方に多数の選手をかけられるのがメリット。後方にスペースを与えるのがデメリット。
・確実に相手よりボールを持てるなら、3バックという贅沢も許される。相手が一人退場した時などに有効。
・3バックが苦手なのは、ダイレクトにボールを放り込んできて走力勝負を挑んでくる相手。強豪チームにボールを持たれ、スペースまで与えたら失点する可能性は高い。格下チームが採用すると、身の丈以上のリスクの大きいサッカーをすることになる。
・外のCBの両脇(WBの後ろ)にスペースがある。そこにロングボールを放り込に相手を押し込む攻撃が有効。
・本職がCBでない選手がリベロに入る場合あり。その場合、そこにこの力の強い1トップをあてて勝負させるのが定石。
・スピード十分のDFがいて広いスペースをカバー可能なら、3バックはハマる可能性がある。
・豊富な運動量をベースとした可変メカニズムも一般化しつつある。戦術的練度が高まれば、守備リスクを軽減できる。

3-4-3

【概要】
・フィールド全体に均等に選手を配置し、攻撃的な選手の能力を十分に発揮させる。
・攻撃はサイドアタックが特徴。
・CBも攻撃参加が求められる。
・前線と中盤のプレッシングからのショートカウンターが効果的。
・ディフェンス面でリスクを抱え、相手のサイドアタックを苦手とする。WBはサイドのケアが必須。
・守備時に両WBとWGが下がり5-4-1に変化することが多い。

【採用例】
・ザックJのオプション(断念)

【(相手からみた)攻略ポイント】
・相手のWBへの対応法は、ボールサイドは守備対応、逆サイドは捨てるが一般的。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・4-4-2

3-6-1(3-4-2-1)

【概要】
・中盤に選手を多く配置し、中盤でのプレッシングとポゼッションを志向する。
・3-4-3同様サイドアタックも可能だが、1トップと2シャドーによる中央突破という特徴も強い。
・CBも攻撃参加が求められる。
・中盤の人数を生かしたプレッシングが有効。
・WBがサイドゾーンをケアする戦術理解度と運動量が求められる。

【採用例】
チェルシー(2016-17年)、サンフレッチェ広島(ミシャ式)、浦和レッズ(ミシャ式)
※ミシャ式:守備時にWBが最終ラインに降りて5-4-1に、攻撃時に4-1-5化する可変式。

3-5-2(3-1-4-2)

・中盤の底にはゲームメイカーを置く場合が多い(例:ピルロ)。
・中盤に人が密集しすぎて、サイドチェンジから簡単に前進を許しがち(押し込まれる)。
・一般的には堅守速攻型のシステムという位置づけ。カウンターアタックの質が重要。
・WBにはハードワークが求められる。運動量が必須。
・プレミアリーグでもちらほら見かける。

【採用例】
オランダ代表(2014年)、ユベントス(2014-15)

【(相手からみた)攻略ポイント】
・人員が中央寄りなので、ピッチを広く使ってサイドから崩したい。

【中盤を噛み合わせるシステム】
※CB1枚を余らせて、FW1枚が数的不利になる形。
・3-5-2(3-4-1-2)

5バック

5バック概要

・3バックにおけるWBを最終ラインに落とした形が基本形であれば、5バックと表現したほうが良い。
・5-2ブロックにならないよう気をつけたい。バイタルエリアが空きやすいし、SBがオーバーラップしてきたら簡単にサイドで数的優位となり危険。

その他

ミラーゲーム

押さえておきたいのは「ミラーゲーム」という概念。同じシステムを採用するチーム同士の対戦をミラーゲームという。

ミラーゲームの特徴は以下の通り。
・選手同士が噛み合っているため、マークする相手が明瞭になる。
・各局面において数的不利にならない。
・選手個人の能力で勝負することになるため、格上有利。
・膠着状態に陥りやすい。

変則的なシステムを採用する相手に合わせて、あえてミラーゲームに持ち込んでシステム的優位性を消そうとする戦略はしばしばみる。(例:EURO2016 ドイツ代表VSイタリア代表)

同じシステムを採用?試合ごとに変える?

同じシステムを採用し続けるチームは、自分たちの選手の能力を最大限に活かすことを優先していると思われる。

逆に試合ごとに異なるシステムを採用するチームは、相手の良さを消すことを優先している可能性が高い。

利き足とポジションの関係

利き足と同じサイドに配置

・右ウイングや右サイドハーフに「右利き」の選手を配置する考え方。
・縦への突破からのクロス(深くえぐってからのマイナスのパス)が有効。
屈強なセンターFWがいる場合はこちらが良い。

ウイング:利き足と逆サイドに配置

・右ウイングや右サイドハーフに「左利き」の選手を配置する考え方。
・ドリブルでカットインしてシュートという攻撃が有効。
・身体の向きが中央を向くので視野を確保しやすい。スルーパスやワンツーなどの攻撃パターンも可能。
・相手DFとのマッチアップ時に、相手DFから遠い方の足でキープできるので奪われにくい。
ウイングの得点力を活かしたい司令塔タイプのMFを活かしたい場合はこちらが良い。

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