Jリーグはビッグネーム獲得という目玉補強をすべきか?

最近のJリーグ界隈を賑わせているトピックのひとつは「ヴィッセル神戸がイニエスタを獲得するかどうか」である。世界的名門クラブであるバルセロナの伝説的選手で、つい最近もチャンピオンズリーグ準々決勝やエル・クラシコに先発出場するなど、実力面でも現状一級品である。そんな名選手がJリーグに参戦する可能性が高いとなれば盛り上がって当然だ。実現すれば、Jリーグにおいて過去例のない規模の大型移籍となる。

さて本稿ではそれに関連し、ビッグネーム獲得という「目玉補強」そのものについて考察する。話題づくりのために有名選手の目玉補強するという「攻めの投資」は賛否両論だ。賛成反対それぞれの立場の意見を精査してみよう。

近年のビッグネーム獲得補強を振り返る

近年Jリーグに参戦したビッグネームたち

選手、主な経歴、成績を紹介。

■ユングベリ(スウェーデン代表、アーセナル)
・清水エスパルス 2011年(10位):出場11試合、0得点

■フォルラン(ウルグアイ代表、アトレティコ・マドリード)
・セレッソ大阪 2014年(17位):出場34試合、9得点
・セレッソ大阪 2015年(二部4位):出場16試合、10得点

■ポドルスキー(ドイツ代表、ケルン、アーセナル)
・ヴィッセル神戸 2017年(9位):出場18試合、5得点
・ヴィッセル神戸 2018年

■ジョー(ブラジル代表、エヴァートン、マンチェスター・C)
・名古屋グランパス 2018年

■イニエスタ?(スペイン代表、バルセロナ)

成功だったのか、失敗だったのか?

成績面では失敗か。個人でもクラブでも、年俸に見合うほど特筆した成績を収められていない。

一方話題作りや経済効果の面では議論の余地がある。フォルランが来た2014年シーズンのセレッソの入場料収入(観客動員数)は前年と比べあまり変わりなく、合計収益は過去最高(約37億円)を記録しているが合計費用も過去最高(約38億円)だ。赤字である。赤字でも人気のきっかけになれば問題ないが、そのシーズンを降格圏で終えたため2015年シーズンはJ2で過ごすこととなり、収益は大幅悪化。フォルラン効果は図りづらい。

ビッグネームを獲得すべき理由(賛成派)

ここでは、目玉補強をしたほうが良いと思う理由について考察する。

話題性や集客戦略として

日本ではサッカーそのもの、あるいは日本代表への関心は高い。その反面、Jリーグへの関心は世間的に低く、テレビなどのメディアで扱われる時間も限られる。そんななかビッグネームの獲得は話題性十分。メディアを惹きつければ集客戦略として有効。

DAZNマネーも入ったし

2017シーズンから、Jリーグとイギリスのパフォームグループが運営するスポーツ映像配信会社「DAZN」は10年間で2000億円超という大型契約を結んだ。これにより、いわゆる「DAZNマネー」が入ってくる。「Jリーグ優勝賞金」「Jリーグ理想強化分配金」を合計すれば、J1優勝クラブには22億8800万円もの賞金が入ってくる。経営面からみれば積極的な投資がしやすくなった。

世界のサッカーを知るものが日本に来るメリット

世界のサッカーを知る選手が来るわけで、Jリーグ内においても特にスケールの大きい世界レベルのプレーが見られるはずだ。またチームメイトへの刺激、与える影響も大きいと想像できる。

※日本サッカー全体でみても、インタビューなどで知識・知見を吸収できる。パイプを持つことになり後々に繋がるなどのメリットが。

ビッグネームを獲得すべきでない理由(反対派)

ここでは、目玉補強をすべきでない理由について考察する。

純粋にクラブを強くするために使うべき

DAZNマネーがあるから金を使おうといっても、純粋にクラブを強くするために使うべきだ。下部組織への投資、スタッフ・設備への投資などの優先順位が上でも違和感はない。一般的に世界的ビッグネームはコストパフォーマンス的にリスクが大きく(高額過ぎる・衰えの可能性)ため獲得優先度は低くなるのだろう。

選手のレベルが合致していない

イニエスタレベルであれば検討の余地は大いにあるだろう。だが、ユングベリ、ジョーというタレントで大衆にインパクトを与えることは可能だろうか。フロント目線で言えば、集客戦略としてもよほどの大物でなければ獲得するほどでもないと判断しても不思議ではない。集客戦略になるレベルの有名選手との契約は諦めている(失敗に終わっている)のかもしれない。

集客戦略も別の方向性でやるべき

集客戦略といっても様々で、ビッグネーム獲得という目玉補強だけがすべてではない。Jリーグにお客さんを呼ぶうえでは、サッカーのことだけを考えるべきではなく、「スポーツ観戦環境として」「アウトドアとして」「余暇の過ごし方として」魅力的なのかどうか考えるべきだ。様々な視点から精査すべきことである。(ただしそれらはメディアでの大きな反響は期待できないが。)

DAZNがJリーグと大型契約したということは、それだけJリーグにポテンシャルがあるということだ。メディアの扱いは低いが着実に価値を高めている。切羽詰まっているわけでもないため、過度な大衆受けは期待しなくてもいい。

ビッグネームを獲得したくてもできない説

ここでは、目玉補強をしたくてもできないのではという点について考察する。

中国やアメリカに勝てない

いま世界的一流プレーヤーにとってのいわゆる「年金リーグ」といえば、「中国サッカー・スーパーリーグ」と「アメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)」だ。金銭での勝負となってしまったら、DAZNマネーの影響をふまえてもなかなか勝てるものではない。

交渉力のある人材がいない

お金があってもそれを有効に使う人材が足りていないのではないか。これは監督人事においても欧州の外国人監督招聘の動きが鈍いことからも推察できる。日本にスポーツビジネス的なものが勃興してまだ10年ちょっとなので、世界的ビッグネームとのタフな交渉に慣れた人材は多くはないと思われる。

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