選手全般
フィジカル能力
フィジカル的な進化が極限まで達した現代サッカーでは、一定水準のアスリート能力は必須といえる。スピード、一試合走りきれるスタミナ、競り合いへの耐久性、ケガしにくさなど。
当然節制も必要で、食事の摂り方から気をつけなければならない。ハリルホジッチ監督が指針として示した体脂肪率もいい目安となる(普通は10%以下)。
フィールドプレーヤー全般
状況判断の能力
サッカーにおいて状況判断は重要だが、「いちいち状況判断して正しい判断をする選手」でもトップレベルでは遅い。パススピード、ボールコンタクトにかける時間、判断力といったあらゆる分野において所要する時間が削られている現代サッカーでは特に。
本能的に正しい判断を下せるプレーヤーが求められる。サッカー先進国では、ユース年代で局面局面のプレーパターン(100種類以上)を身体に覚えさせるという。どんな選手も、基本的に条件反射でプレーしている(判断の無意識化)。判断という余計なアクションが挟まるとプレースピードが鈍る。あのシャビでも「考える」より前に「直感」でプレーしているという。
認知の能力
ボールを受ける前に、「自分」「相手」「味方」の3つの状況を複合的に認知する。ボールを止めてからではなく、受ける前、ボールの移動中に、戦術的要素を加味して判断ができる選手は素晴らしい。上手い選手は、守る相手が嫌なポイント・タイミングを知っている。
キックの予備動作
ゲームメーカーや司令塔は特に、キックの予備動作が目立たない方が良い。分かりやす過ぎると相手に読まれる。プレッシャーのきついエリアでは能力を発揮できないかもしれない。
フォワード
決定力
言うまでもなく一定水準の決定力が求められる。数少ない決定機を決めきる強靭な精神力。そしてシュートを枠に飛ばす技術。
裏を取る動きの質
DFラインの裏へ抜け出す動きの巧みさも必要。DFの視界の外で斜めに侵入するダイアゴナルラン(大きな斜めの動き)、DFが視線をそらした一瞬の隙を突いたプルアウェイ(引いて離れる動き)など、DFとの駆け引きに優れたFWは起用しやすい。それらはスペースを生む動きでもあり、ボールが出てこなくても有効だ。
ポストプレーヤーとしての能力
キープ力のあるFWは起用しやすい。前線で攻撃の起点を作るプレーがうまければチームを助ける。ポストプレーヤーというと高さや強さが必須(強靭な肉体でなければ難しい)というイメージがあるが、身体の使い方が重要。
突破力
突破力もあれば望ましい。狭いスペースでの局面打開力があれば相手DFからしたら怖い。
ウイング
縦への突破力
縦へ突破しクロスを入れるという攻撃パターンをもつ選手は、利き足と同じサイドで起用される場合が多い。抜群の加速力とクロスの正確性が求められる。FWにターゲットマンがいなければ起用しづらい。クラシカルなウイングという印象。
カットインからのシュート
現代的なウイング。カットインからのシュートやパス出しの能力が求められる。利き足と逆サイドで起用される場合が多い。スピードとシュートの正確性が必須。ロッベンのように決まった”型”を持っている選手も怖い。
守備の献身性
現代サッカーにおいてサイドの攻防は試合の結果に大きく影響を与える。完全に守備を免除されるウインガーはかなり少なくなった。
攻撃的MF
ボールを扱う能力全般
チーム戦術にもよるが、パス、ドリブル、シュートの基礎技術はすべて高い水準で備えている必要がある。ボールを扱う者としての素質を持っていなければ務まらないポジションだ。アタッカーが動き出す瞬間を認知し正確なパスを出す能力、狭いパスコースにスルーパスを通す能力はこのポジションではほぼ必須。ドリブルやミドルシュートの能力も。プレッシャーの激しい中央では、囲まれてもボールを奪われないキープ力が重要になる。
ボランチ、アンカー
配給能力
配給能力に長けていなければならない。
ボールを受けるうえで正しいポジショニングを取る能力が求められる。姿勢の良さ、相手の弱い部分を見つける視野の広さも求めたい。
そして自らのチームに時間を与えられるパス能力。ボールを失わずに正確に繋ぐ能力は、プレスを回避するうえでも必要条件だ。ブスケツが得意な、身体の向きをサイドに向けて「インサイドの裏」で縦パスを当てるキックは習得しておきたい。相手選手は逆を突かれる。
カウンターなどで守備から攻撃に円滑に移行することを可能にするロングキック能力も重要だ。
守備者としての能力
攻撃が終了した際に即座に味方に帰陣を指示し、ボールを奪い返すために全体の位置を調整する判断力。ボールが相手側にある際に、2人のセンターハーフのポジションを指示し、アタッカー3人のポジションを整える指示能力。これらの能力は備えておきたい。
守備者としての個人能力は、ボールを奪いにいく強度、タイミング、判断力。不用意に適切なポジションから飛び出さず、正しいポジショニングを保つことで相手の攻撃を遅らせるインテリジェンス(冷静さ、戦略眼)も備えていなければならない。
センターバック
守備者としての能力
スピードと高さは基礎能力としてほしい。モウリーニョ曰く「センターバックは最低183cmはないと無理」だそうだ。また、ターンのスムーズさも重要。鈍重だと切り返しに弱い。
そして頭の良さ、すなわち判断力も求められる。タックルに行くべきかどうか、ボールの軌道の判断、相手の特徴によって対応を変える、など、シーンごとに最適な判断をしなければならない。
ラインコントロールの指示などの統率力も。
ビルドアップ能力
攻撃の起点となるロングフィードの正確性。ボールを持ち運ぶドリブル能力もほしい。
足下に止めて考える癖がある選手は危険だ。ボールを少し前(ワンタッチで出せる位置)に置いて判断すべきだ。ワンテンポキックが遅れるし、相手選手に狙われた時に対応が遅れる。
左利きのセンターバック
左側のセンターバックは、右足でボールを晒した時にわずかなミスを犯すとゴールに直結してしまう。左足で止め、左に開くような動きを自然にすることで、リスクを避けられるのと同時に、大きな展開を作り出せる。左足から一気にサイドチェンジするような長いパスを出せると、プレスで詰められた状態では、大きなアドバンテージになる。
論理的に左センターバックには左利きがベターだ。だが基本的にセンターバックとしての守備能力の方がプライオリティーは高い。ゆえに希少価値が高い。
サイドバック
スタミナ
どのポジションでもそうだが、特にサイドバックは基礎持久力は備えていなければならない。ウイング(サイドハーフ)とともにサイドを90分走破しなければならないが、「最終ラインの選手は交代させにくい」という采配のセオリー上サイドバックの選手がガス欠することは許されない。トップスピードでスプリントをかけ、攻撃が終わったら即座に帰陣しなければならないなかで、持久力は求められている。相当過酷なポジションだ。
戦術理解力
高い戦術理解力と集中力が求められる。オーバーラップのタイミングだけをとってもそうで、タイミングを誤るととりわけ守備面で大きな綻びとなってしまう。ボールが逆サイドにある時は中に絞る、ボールサイドでは周りの選手と連係しながら相手を追い込む、など、プレー選択が戦術的でなければならない。
ゴールキーパー
強靭なメンタル
ミスが少なく安定しているキーパーは良いキーパーだ。存在感で味方に安心感や落ち着きを与えることができる。重要な場面でのビッグセーブが多いキーパーは味方からの信頼も得られるし、相手を威圧しシュートミスを誘う。
フィジカル、あるいは才能
高さ(ハイボールに強い)、シュートへの反応の早さ(反射神経の高さ)なども大きなアドバンテージ。
準備の技術
・姿勢。構え方。
・予測と認知。
・フットワーク(細かいステップ)、ポジショニングの調整の速さと正確さ。重心の移動。
・着地の技術。
シュートストップ技術
・足の出し方と方向。
・腕の出し方と手の使い方。手を出すタイミング。
・正確なパンチング。キャッチング。その判断。
・ダイブのスピード、軽さ。