Jリーグ秋春制のメリット・デメリットを考える

Jリーグ秋春制(あきはるせい)とは、「Jリーグを秋に開始し春に閉幕する」とする制度。いま現在のJリーグは春秋制で、開催時期は2月〜12月。秋春制に移行すれば、開催時期は7月(または8月)~翌年5月頃となる(1月~2月にかけてウィンターブレイクを設ける)。

現在のJFA会長・田嶋幸三氏は秋春制を推し進めようとしているが(「最終的にはJリーグの判断に任せる」という立場)、反対意見も多い。

本稿では、Jリーグ秋春制のメリットとデメリットをおさらいする。

秋春制にするメリット

欧州のカレンダーと合う

説得力:★★★☆☆

欧州主要リーグは秋春制が主流。これを基準にFIFAの国際スケジュールも組まれている。Jリーグのカレンダーは半年ズレており、いくつか不都合があるが、秋春制にすることで欧州のカレンダーと合致し諸問題が解消される。
※北欧、アジア、北米、南米などは春秋制である。

移籍の円滑化

以下の表にまとめたとおり、春秋制のJリーグと欧州とでカレンダーに半年のズレがあると、選手の移籍のしづらさがあるのがわかる。これらを解消しようというのが秋春制の狙いだ。

Jが欧州から獲得する 欧州がJから獲得する
夏の移籍市場 ・中途半端な時期に加入することになり、チーム戦術にフィットしづらい。
・勤続疲労が懸念される。
・Jクラブはシーズン中に戦力ダウンし取り返せない。
冬の移籍市場 ・欧州がシーズン中のため、監督やコーチは取れない(契約の切れ目を狙えない)。
・選手を取るにも移籍金が多くかかる。
・中途半端な時期に加入することになり、チーム戦術にフィットしづらい。
・勤続疲労が懸念される。

代表AマッチによるJリーグの中断が減る

代表Aマッチは欧州日程を基準に作られてる(3、6、9、10、11月に2試合ずつ)。

現状の春秋制では、優勝争いがあるリーグ戦・ルヴァンカップ決勝・ACL決勝などが、秋の代表戦の影響でブツ切りになってしまう。だが、秋春制だとリーグ戦終盤の4・5月に代表による中断期間がなくなる。

夏場に海外のビッグクラブとプレシーズンマッチが組める

一応メリットのひとつとして。
※春秋制の現状でも、代表戦による中断期間などに親善試合は組んでいる(が、チームの完成度に差があり、J有利)。

各クラブのオフ期間が不公平な問題の解消

説得力:★☆☆☆☆

Jリーグ終了後の12月にも天皇杯があり、各クラブのオフ期間が違う。

オフの最長は、12月上旬(Jリーグ終了)から2月下旬(Jリーグ開幕)。つまり約3ヶ月。
オフの最短は、1月2日(天皇杯終了)から2月上旬(ACLプレーオフ)。つまり約1ヶ月。

このように、クラブごとにオフ期間に2カ月間もの差が生じている。

だが、秋春制にすることで、この問題が解消できる。天皇杯が終わるのも、ACLプレーオフが始まるのも、シーズン中。オフ期間は公平だ。

夏場にパフォーマンスが落ちるのが改善できる

説得力:★★★★☆

日本の夏は高温多湿で、パフォーマンスが落ちる。秋春制にすることで、夏場の過酷なコンディションでの試合数は減り、試合の質が上がる。疲労もたまりにくいだろう。

野球などその他興行と開催時期が被らなくなる

説得力:★★☆☆☆

多くの興行が、春秋制をとっている。Jリーグが秋春制を採用すれば、特に冬の期間の日本におけるスポーツの話題を独占できる。夏開催のスポーツから観客が流れてくることも期待できる。

秋春制にするデメリット

気候の問題

説得力:★★★★★

降雪の問題

日本は世界屈指の豪雪国。北海道・東北・北陸地方のクラブは、練習やホームゲームができなくなる懸念がある。

降雪対策自体は極めて困難だ。ホームスタジアムや練習場の降雪対策も難しいが、興行として機能させるには交通アクセスも含めて対策する必要があり、無理筋である。

寒さによる減収が予想される

寒いなかの観戦は苦痛である(前述の通り交通アクセスの問題もある)。そのため、ライト層の観客数は減り、減収が予想される。

※ちなみに、書き入れ時の夏休みシーズンの集客が期待できなくなってしまうという理由でも減収が予想される。

ウィンターブレイクでの解消という案もあるが、日程的に厳しい

対策案として、ウィンターブレイクの期間を設ける案がある。12月(または1月)~2月にかけて、リーグの中断期間を設けるというものだ。だが、その場合スケジュールが過密化する。リーグ戦実施可能期間がかなり短くなってしまう。

あるいは「降雪地帯のクラブは12月や2月はアウェーゲームを増やし(1月は開催なし)、逆に8月のホームゲームを増やす」という案もある。確かにこのようにすれば、スケジュール面でも若干余裕ができるが、アウェーゲーム(あるいはホームゲーム)の連戦が続くのは公平性に欠くという見方が強い。

いずれにしても、ウィンターブレイク案は非現実的だろう。現状の春秋制(「冬場は試合しない」方針)でもスケジュール過密なのに、「夏場は試合しない」「冬場はウィンターブレイク」という秋春制でどう日程を組むのか?絵に描いた餅にも思えるが…。

ACLのカレンダーと合わない

説得力:★★☆☆☆

現在ACLは春秋制を採用しており、2〜5月と、8月~11月に開催される。春秋制でもカレンダー的にプレーできないことはないが、シーズンの始まりに決勝トーナメントを戦い、シーズンの終わりに予選やグループステージを戦うという奇妙な状況となる。

また、Jリーグのシーズン終盤の大事な時期(4・5月)に代表戦の中断期間がないのが秋春制の推奨理由だったが、ACLのグループステージも4・5月にある。中断しないにしても、日程の不公平は生じてしまう。

「欧州主要リーグが試合をしていない夏場に開催している」というJリーグの強みがなくなる

説得力:★★☆☆☆

秋春制を採用すれば、野球など日本国内の興行とは時期がずれるが、逆に欧州サッカーの開催時期と同じになる。

「欧州主要リーグが試合をしていない夏場に開催している」というJリーグの強みがなくなってしまう。DAZNがJリーグへ大型投資を決断した理由のひとつがそれとも考えられており、無視できないデメリットだ。

日本社会のカレンダーと合わない

説得力:★☆☆☆☆

秋春制を採用する欧州では秋が新年度であり、社会そのもののカレンダーとも合致している。だが、日本社会はそうではない。

高卒・大卒ルーキーは、卒業してから半年間の空白期間が生まれてしまう。(シーズン中の可能を認めれば問題ないが、中途半端な時期に加入することになる。)

また、年(年度)をまたぐので、スポンサー契約を2期にしなければならず、二の足を踏まれることが懸念される。

選手が怪我をしやすくなる

説得力:☆☆☆☆☆

寒さにより故障が増える可能性がある(筋肉が固まりやすい?)

Jリーグ組のワールドカップにおけるコンディションのメリットが消える

説得力:★☆☆☆☆
ドイツ代表監督レーヴは、「秋春制より春秋制の方がワールドカップ(W杯)でのパフォーマンスが上がる」とし、条件付きで春秋制を推奨するともとれる発言をした。このことから分かる通り、Jリーグ組のコンディション面で春秋制は有利だが、秋春制にすることでそのメリットは失われる。

欧州が春秋制とする可能性も…

説得力:☆☆☆☆☆
カタールW杯は2022年の11月〜12月にかけて行われる。欧州リーグはこれに対応すべく春秋制に移行する可能性も出てきており、実現すれば、欧州カレンダーと合わせるための秋春制が本末転倒となる。

筆者の結論

筆者の結論としては、「メリットも理解できるが、弱い」「デメリットが大きすぎる」と考える。故に反対だ。

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