欧州5大リーグの外国人枠について、筆者なりに詳しくのポイントをおさえてみた。各国で事情が異なる複雑なルールを正しく理解しておこう。
目次
欧州5大リーグの外国人枠おさらい
早見表
リーグ | 登録 | 出場 | 外国人扱い されない国 |
備考 |
---|---|---|---|---|
ラ・リーガ | 3名まで | EU/ EFTA/ コトヌー協定/ トルコ人 |
5年居住で市民権を得られる | |
プレミア | 無制限 | – | ビザ制限/ ホーム・グロウン・ルール |
|
セリエA | 獲得が3名まで (条件が複雑) |
EU/ EFTA/ イタリアで国内移籍を果たした選手 |
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ブンデス | 無制限 | – | ドイツ人枠 | |
リーグ・アン | 3名まで | EU/ EFTA/ コトヌー協定 |
スペイン/ラ・リーガ
外国人枠は登録、出場は3選手まで。
EU、EFTA、コトヌー協定に該当するアフリカ諸国、トルコ国籍を所有する選手は外国人扱いされない。またそれ以外の国の選手でも、5年居住で市民権を得られるため国内選手扱いとなる(日本人は二重国籍を認めていない事情により難しい)。
イングランド/プレミアリーグ
外国人枠はなく無制限。
ただしビザ(外国人労働許可証)制限がある。ビザを取得していない選手は登録も出場もできない。ビザ取得条件は以下のいずれかを満たさなければならない。
- 移籍金1000~1500万ポンド以上の市場価値のある選手
- FIFAランキング1〜30位以内の国の選手かつ、過去2年間のA代表公式戦出場率が30%以上
- FIFAランキング31〜50位の国の選手かつ、過去2年間のA代表公式戦出場率が75%以上
- 21歳以下かつ、過去2年間のA代表公式戦出場率が75%以上
※プレミアリーグ(つまり1部)のクラブでプレーする選手に限る。
※他クラブへレンタル移籍した選手が、英国の労働許可証の発給を受けて英国へ戻ることは禁止。
さらにはホーム・グロウン・ルールがある。21歳の誕生日を迎えるシーズンまでの3年間にイングランド・ウェールズのクラブに在籍した選手を8人以上登録しなければならない。国籍は問われない。
イタリア/セリエA
外国人枠は、獲得するのが3選手と定められている。条件は少し複雑だ。
- 保有外国人0:無条件で3名獲得可能
- 保有外国人1:無条件で2名獲得可能
- 保有外国人2:1人目は無条件で獲得可能。2人目は保有している外国人1名を国外に放出or契約解除
- 保有外国人3:1人目は無条件で獲得可能。2人目は保有している外国人1名を国外に放出
ただし、イタリアのクラブ間で移籍した選手は外国人扱いされない(例を挙げるとチェゼーナからインテルに移籍した長友佑都)。加えてEU、EFTA、コトヌー協定に該当するアフリカ諸国の国籍を所有する選手は外国人扱いされない。
ドイツ/ブンデスリーガ
外国人枠はなく無制限。
ただしドイツ人枠が存在し、ドイツ国籍を持つ12人でしかもそのうち6人はクラブの地元で育成された選手を登録しなければならない。
フランス/リーグ・アン
外国人枠は登録、出場は3選手まで。
EU、EFTA、コトヌー協定に該当するアフリカ諸国の国籍を所有する選手は外国人扱いされない。
外国人枠に該当する国なのかどうかの詳細
以下、記事執筆時のFIFAランキングの高い順に掲載するものとする。
EU加盟国
5大リーグすべてで外国人枠に該当しない欧州諸国。
- ドイツ
- ポルトガル
- ベルギー
- スペイン
- ポーランド
- フランス
- デンマーク
- イタリア
- イギリス(イングランド、ウェールズ、北アイルランド、スコットランド)
- クロアチア
- スウェーデン
- オランダ
- スロバキア
- オーストリア
- アイルランド
- ルーマニア
- ブルガリア
- ギリシャ
- チェコ
- ハンガリー
- フィンランド
- スロベニア
※イギリスはEUを離脱する可能性も高まっている。
EFTA・欧州自由貿易連合
5大リーグすべてで外国人枠に該当しない欧州諸国。
- スイス
- アイスランド
- ノルウェー
- リヒテンシュタイン
EU、EFTAに加盟していない国
制限のあるラ・リーガ、セリエA、リーグ・アンにおいて外国人枠に該当する欧州諸国。
- ウクライナ
- セルビア
- ボスニア・ヘルツェゴビナ
- トルコ
- モンテネグロ
- ロシア
※ただしトルコはラ・リーガでは外国人枠に該当しない。
コトヌー協定に該当するアフリカ諸国
セリエA以外の5大リーグで外国人枠に該当しないアフリカ諸国。
- コートジボワール
- ガーナ
- ナイジェリア
- 南アフリカ共和国
- セネガル
- カメルーン
- エチオピア
- ガボン
- コンゴ共和国
- コンゴ民主共和国
- ケニア
- トーゴ
コトヌー協定に該当しないアフリカ諸国
制限のあるラ・リーガ、セリエA、リーグ・アンにおいて外国人枠に該当するアフリカ諸国。
- アルジェリア
- エジプト
- チュニジア
- モロッコ
補足:日本人選手と国籍
外国人がヨーロッパ国籍を取得するとなると、およそ6~8年その国で働くことが求められる。あるいは生まれつきの二重国籍者か、親族または妻がその国の人であれば例外的に取得できる。
ただし南米人などがあっさり多重国籍を認められているのに対し、日本人は簡単に外国籍を取れない。厳密に二重国籍が禁じられているわけではないが、生まれつきの二重国籍者は22歳までに国籍を選択する必要があるなど、他国に比べて国籍の扱いは厳格だ。
日本人選手が欧州の外国人枠の事情を考慮して外国籍を取得したいとしても、あっさり取らせてはもらえないだろう。基本的に日本人選手は外国籍を取れないものと考えてよい。
ちなみにリーグにもよるが、下部組織に4年間所属していれば「クラブ生え抜き」となりそのクラブでは外人枠扱いされないというケースがある。例えばメッシの若い頃などはそうだった(いまではスペイン国籍も持っているので関係ないが)。
補足:国籍を調べる方法
Transfermarktにてチームのリンクをクリックすると、スカッドの一覧がみられる。国籍も記載してあるので便利だ。