モヤモヤを感じるハリルホジッチ監督解任劇

4月8日から9日に日付が変わろうかという時分に、日本代表のハリルホジッチ監督が解任されるという一報が届いた。16時からはじまる記者会見で正式発表される見込みとの報道だった。

当初はにわかには信じがたく、Twitterなどのネット界隈でも大きくざわついたが、複数メディアが報じ、海外メディアが報じ、NHKが報じ、という流れをうけて次第に誰しもがその事実は受け止めることとなった。結局記者会見では、ハリルホジッチ監督の解任と西野朗技術委員長が後任監督となる旨が発表された。

賛否両論だったハリルホジッチ

解任派と続投派、真っ二つだった意見

ハリルホジッチの世間からの評価は、文字通り賛否両論だった。2017年12月19日付と少々古く恐縮だが、BuzzFeedで続投か解任かの意見調査がされているのを筆者が確認したところ、下記の通り半々だった。

解任派の意見としては、「無策に映る」「守備的なのに失点が多く、点が取れる気がしない」「縦に速いサッカーは日本にあっていない。つまらない」というものが多かった。人間性もウケてはいなかった。

一方続投派の意見としては、アルジェリア代表監督時代にドイツ代表を追い詰めたことなど「世界最先端のサッカーを知っている」というもの。大一番で勝負に出る策士タイプの監督であり「直近の敗戦もテスト色の強い一戦なので重要視すべきでない」という意見が多かった。あるいは「いまさら解任はない」「他に呼べない」という少々ネガティブな続投支持の声もあった。

今回の解任も賛否両論。解任派も「遅きに失した」

今回の解任についても賛否両論だ。というよりも、解任派だったであろう人からも「いまさら遅い」という声が上がっている。E-1選手権で韓国に惨敗した時点で変えるべきだったとの声もある。

ちなみに筆者は、ハリルホジッチに期待していたので続投派だった。もちろん今回の解任にも反対だ。(E-1選手権後の解任についても、3軍の寄せ集めチームで同格の韓国に敗戦して解任するなど以ての外だと考える。)

掴みどころのなかったハリルジャパン

ガチ試合では結果を出したハリルホジッチ

ハリルジャパンの戦績を振り返ると、本気の試合が少なすぎた。これまで本当の意味で「絶対に負けられない戦い」と呼べるのは、ワールドカップアジア最終予選の試合だけだ。レベルがワールドカップ出場国レベルで、コンディションもまともで、消化試合でない試合をピックアップすると、下記の5試合くらいしかない。

  • ワールドカップ予選(ホーム):UAE:1●2
  • ワールドカップ予選(アウェー):オーストラリア:1△1
  • ワールドカップ予選(ホーム):サウジアラビア:2○1
  • ワールドカップ予選(アウェー):UAE:2○0
  • ワールドカップ予選(ホーム):オーストラリア:2○0

これらの結果のとおり、ハリルホジッチはガチ試合の戦績はそこまで悪くない。筆者の観るかぎり内容も悪くないと思う。アウェー豪州戦はポゼッション率が35%で賛否両論だったが、小宮良之氏のコラムによると、スペインの慧眼・エチャリ氏が「戦術的ベストゲーム」と評したという。

負けが込んだハリルホジッチはどこまで本気だったのか?

日本代表がワールドカップ出場を決めた後は、ハリルホジッチはテスト色の強い選手選考や戦術を積極的に織り交ぜはじめた。つまるところ、ハリルジャパンの評価の難しい原因はここだ。

100%で負けてるのか? 70%で負けてるのか? 40%で負けてるのか? 大衆にとって敗戦は不愉快でも分析すれば色々みえてくるが、それでもどこまで本気なのか推し量るのは難しかった。

本当にハリルホジッチは勝たせる能力がないのか? 手の内を隠しているのか? 掴みどころのない代表戦になっていた。

ハリルホジッチは、ウクライナ戦の前に「結果を求める」と語り結局敗戦した。それがどれほどの真実味だったのか、まったく心にもない言葉だったのか、結局わからぬままその試合を最後にハリルホジッチは去ることとなった。

なぜ本番に強い監督を直前に解任なのか

言うまでもないことだが、重要な一戦で勝つためにいくらかのテストを敢行し、そのテスト試合に負けて解任するなど前代未聞だ。

ここで首を切るなら、そもそも何故ハリルホジッチを監督に招聘したのか。大一番で策が打てるタイプの監督を本大会直前に解任するのだから、筆者には迷走に思えてならない。

ちなみに前任のザッケローニ監督は、準備段階でもテストというよりもむしろ内容重視で、結果も内容とともに大衆的には好印象だったが、露呈した左サイドの穴をつかれるなど本番では振るわなかった。現代サッカーは情報戦でもあり、そう簡単に「自分たちのサッカー」では相手を貫くことはできない現実を味わったはずだ。

それゆえ今大会では(アギーレの八百長疑惑という不測の事態を受けてだが)本番に強い監督を招聘したのではなかったか。その監督はワールドカップ予選最大の大一番であるホームの豪州戦でもきっちり結果は出した。本番に強い監督を招聘し、本番直前に解任というちぐはぐさに、違和感を感じずにはいられない。

ハリルホジッチのやり方が正しいのか間違っているのか評価できない

ハリルホジッチをここで解任してしまうことに対し、筆者が一番残念に思っている点は、ハリルホジッチのやり方が正しいのか間違っているのかが評価できないことだ。

ハリルホジッチは、いままでのやり方と一線を画す本大会までのアプローチの仕方をみせた。それは人に基準点を置く守備志向を採用するなど戦術面でもそうだったが、結局それが良いのか悪いのかが曖昧なまま終わってしまう。その点に寂しさを覚える。

日本代表は「サッカーは選手ありき」の原則で本大会を勝負する

とはいえ、なにも日本代表の本大会敗戦が決まったわけではない。サッカーとは理不尽なスポーツであり、必ずしもチームの完成度が高いほうが勝つわけではない。

一部報道では(あるいは田嶋会長の会見でも匂わされたが)、選手たちはもっとパスを繋ぐサッカーをやりたがっていたようだ。「サッカーは選手ありき」の原則でいうならば、今回の解任で特に攻撃面で良さが発揮される可能性は多分にある。本来監督解任というのはショック療法的な意味合いもあり、日本サッカー協会の狙いはそこにあるはずだ。

「日本らしいサッカー」が取り戻せる見込みはある。日本代表ファンはそこに賭けることになるだろう。ハリルホジッチはそれでは勝てないことを想定しチーム作りをしてきたわけだが、果たして…。

ハリルホジッチの「銀座でパレード」の夢は潰えた。日本人はあと2ヶ月夢をみていられる。筆者は個人的に、ハリルホジッチと共に夢をみたかったが。

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