ワールドカップ1分2敗で終わったザックジャパン。敗因まとめ

(本稿は、筆者が他ブログで投稿していた記事の再投稿です。)

敗退という現実は変えられない。今後の日本代表のことを想って考える。

なぜ惨敗したのか。考えられる敗退理由

日本代表の問題だった点

今シーズン、主力が揃って不調

エースの本田・香川が所属クラブで出場機会に恵まれなかったのは、チームに少なからず影響したと思われる。両エースの不振は大きな戦力ダウンとなった。初戦と第2戦の香川は「試合勘の欠如」と「自信喪失」により、消極的なプレーに終始した印象がある。

また、長谷部が大会直前の怪我で90分プレーできなくなった点も痛かった。キャプテン不在により中盤のバランスが崩れ、歯車が狂った試合もあった。

本田に依存しすぎた

本田頼みの戦術だったという指摘。

もっとも、いままで本田が欠場していた試合ではあまりよい結果が出ていなかったため、実力的にも本田が中心にふさわしかったという味方は妥当だと思う。「香川トップ下」も絶対的によかったとはいえない。本田はずしのオプションを用意するのは、なかなか難しかった。

ただし、今年に入ってから本田のパフォーマンスが落ちてきていたのは明白。結局いままで「本田ありき」でチーム作りを進めてきたツケが、最後の最後に回ってきた格好だ。

とは言いつつも、主力が本来の力を発揮できないとチーム力が落ちるのはなにも日本代表に限ったことではないので、仕方なしと受け止める必要もあるか(強国ほど人材が豊富でないので、特定の人材に頼らざるをえない)。

オプションが用意できなかった

いままでのチーム作りを見ても、守備を軽視していたわけではなかった様に思える。しかし本大会が近づくに連れて、より極端な攻撃偏重になっていった。選手の最終選考で細貝が外れたことで、「守りきりのオプション」はなくなった。

また、豊田とハーフナーが外れたことで「パワープレイオプション」もなくなった。これについては、今までの試合で選手たちがパワープレイをしようとしなかったので、チームとして捨てたという判断だろう。それはそれでよいとしても、本大会に入って突然パワープレーをやりだすというブレブレの戦いぶりを露呈してしまった。

今思えば、非常に悔やまれる。

“自分たちのサッカー”にこだわり過ぎた

若干前項と重なるが、親善試合のオランダ戦やベルギー戦、コンフェデのイタリア戦等、「自分たちのサッカー」=「ボールを保持し主導権を握って攻撃的なサッカーで戦う」という明確なコンセプトをかたちにしつつあった日本代表。日本の特徴を活かした「攻守において連動した動き」がキラリと輝いた時は、本当にワクワクさせてもらった。

問題は、その「自分たちのサッカー」を思うように出せなかった時、あるいは相手にうまく封じられた時に、打開策+αが用意されていなかったという点。「中心メンバーが心身ともにベストコンディションである事」「気候やピッチコンディションが良好である事」という条件付きでしか戦えないようでは、グループステージを勝ち抜くのは困難だ。

結局本体会では、「コンディションが悪い中」での戦いとなり、”自分たちのサッカー”の表面的な部分だけを披露する格好となってしまった。ギリシャ戦はその象徴のような試合で、パスでの崩しにこだわるも決定的にアイデア不足で、最後の最後まで決め手を欠いて終戦。今後の日本代表の方向性にも影響を与えかねない、「ボールを支配しチャンスをつくるだけでは勝てない現実」を見た、ここ最近で最悪の試合だった。

ザッケローニ監督の采配ミス

以前から、チーム作りの素晴らしさは評価されていた一方で、采配と選手選考については疑念を持たれていたザック。本番では、采配面の不安が悪いかたちでモロに出てしまった。

主に批判されている采配ミスは以下のとおり。

【コートジボワール戦】
・出来が悪かった香川を引っ張る(穴である左サイドの問題点を放置)
・初戦で遠藤投入のタイミングを誤り、守備力が落ちる
・大久保投入後のポジションチェンジで混乱

【ギリシャ戦】
・香川の先発落ち(前節の出来を見れば妥当か?)
・上手く行った試しがない岡崎の左サイド起用
・香川投入後、同じく上手く行った試しがない岡崎1トップ起用
・ドリブル突破が効く展開で、齋藤学を起用せず
・交代枠を余らせる

【コロンビア戦】
・点が欲しい時間帯に、攻撃的ボランチ青山→守備的ボランチ山口に変更
・1得点した岡崎を下げる(消え気味ではあったか?)

【全体】
・サプライズ招集の大久保をチームの中心に
・1、2戦と、この期に及んでほとんどやっていなかったパワープレイ

本戦でテンパって効果的な采配を一度も振るえなかったのは痛かった。ピッチ上で起こっている事象に対して効果的に手を打てる監督であれば…。その点も踏まえて、次期代表監督は「ワールドカップ采配経験」も重視されることになるかもしれない。

日本が弱いだけ

身も蓋もない意見だが、こういった手厳しい意見があるのも事実。受け止めるべきだ。

フィジカル面・メンタル面ともに、世界に通用する「個の力」をユースレベルから育て上げなければならない。

協会・スタッフなどの問題だった点

スポンサー優先のベースキャンプ地?

「スポンサー優先のために、避暑地でスタジアムまでの移動距離も長いイトゥをベースキャンプを張った」という説が、ネットで話題になった。

客観的事実は「キリンのブラジル法人本社がイトゥにある」というところまで。「スポンサーのため」だったかどうかは定かではない。

いずれにしても、「ベースキャンプ地の選択ミス」という主張だけを見ると、あながち的外れとはいえないだろう。初戦での鈍い動きを見れば、キャンプ地の選択がベストでなかったという意見は当然のように思える。

ただしその一方で、長距離移動と過酷なピッチ状況はどのチームもたいてい同条件で、パフォーマンスが悪かったチームは他にもあるため仕方なしとみるべきかもしれない。

ちなみに、同グループリーグの各チームの、ベースキャンプ地からの移動距離まとめ。

■日本代表 キャンプ地 イトゥ(サンパウロ)
①2144km
②2324km
③1288km

■コートジボワール代表 キャンプ地 アグアスデリンドイア(サンパウロ)
①2235km
②930km
③2455km

■ギリシャ代表 キャンプ地 アラカジュ(セルジッペ)
①1219km
②607km
③824km

■コロンビア代表 キャンプ地 コチア(サンパウロ)
①496km
②851km
③1328km

こう見ると移動距離が一番長いのは事実。ちなみに施設そのものはかなり恵まれていたようだ。

チームのピークを大会直前に持ってきてしまった

ドイツワールドカップと同様、チームのピークを大会直前に持ってきてしまったのではないかという意見も。たしかに、コスタリカ戦やザンビア戦の方が、コンディションも良さそうで結果も出た。

複雑な気候条件下でのピークの調整は難しいが、事実であれば悔やまれる。

その他の理由

目指すべき方向性が違った

今更言っても仕方のないことだが、方向性がそもそも違うという意見。「守備陣の個の力が劣るので、もうすこし守備的に戦うべきだった」という主張もある。確かに、結果を残した2002年と2010年のワールドカップは、いずれも守備をベースとした戦術で挑んだ。

今現在のトレンド戦術は、どうやら「個を主体としたスピーディーなカウンターサッカー」にあるようだ。スペイン対策もあるが、日本がスペイン劣化版であるなら確かに他国との相性は悪そうだ。

ただし戦術ありきで考えても、その戦術にマッチする選手がいなければ、それは机上の空論の域を出ない。日本の選手の特徴をみれば、今大会で代表が選択した方向性は大きくは間違ってはいなかったのではないかというのが筆者の意見だが…。

世界レベルの試合経験の少なさ

自分達の実力をきちんと図るための試合数が絶対的に少なかったため、「自分たちの力量を見誤った」「真剣勝負慣れしていなかった」という意見。

ベルギーやオランダに勝てた点は大きかったが、真剣勝負ではなく親善試合だ。ワールドカップ前の練習試合ではコスタリカ代表に3-1で勝利しましたが、コスタリカは交代枠を3人しか使っていなかった。

強い相手と真剣勝負しそこから学び取るという経験は、結局コンフェデ杯くらいでしか経験できなかった。

ただしこれは、レベルの低いアジアに所属していることの宿命と受け止めなければならない。欧州や南米は、予選段階でシリアスな世界レベルの試合を体験できる。

興行目的のキリンカップが批判の対象となりがちだが(「欧州遠征に行けよ」等)、もちろんお金が必要な点も認めなければならないので、判断が難しいところだ。

ファンの質

ファンの甘い目が、選手の足を引っ張っているという意見もある。ネット上では「日本代表の壮行会がアイドル級で気持ち悪い」と話題になった。

また、惨敗後のチーム帰国時の出迎えでは、日本だけがスーパースター扱いだった。イタリアとイングランドでは「出迎えなし」、韓国では批判的な横断幕が掲げられ飴が投げつけられたそうだ。

厳しい目が足りないという意見は根強い。しかしながら、こういった一件は国民性も反映されるので、それが日本らしさ(日本の良い所)でもあると思う。

おまけの話:後任人事は早くもスタート

今回のブラジル大会の総括も十分に行われていないなかではあるが、早くも次の監督の話が出ている。7月4日時点では、”アギーレジャパン”に決まりかけているという報道も出ている。

正直なところ、新監督を決める前に、協会として何らかのけじめを付けていただきたい感じもする。そしてもちろん、今大会の総括と、今後の方向性の再検討も大事だ。

ただし、移籍マーケットでは早めに動かないと有力な監督が捕まえられないという事情もあるので、この時点での決定もやむなしかもしれない。

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